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2007年07月14日
羽嶋綾香さん/団体職員事業係(学芸員)
今月は、団体職員事業係(学芸員)の羽嶋綾香さんをご紹介します。
【 プロフィール 】
羽嶋 綾香
防府市出身・在住
2004年3月 京都女子大学文学部卒業
2004年7月 (財)防府市文化振興財団 事業係美術担当(学芸員) アスピラート勤務
【企画・担当のイベント】
2004年
周防国空間演出プロジェクト「まだ白く、もう白い」(映像:向井知子、サウンド:小倉一平)
2005年
「幻のやきもの展」
「お引っ越し展#1〜アーティストからのクリスマスプレゼント」
2006年
「七人の文豪展」
「Sport Illustrator 尾中哲夫展〜走って闘う絵描き」
「お引っ越し展#2〜アーティストたちの夏やすみ」
「周防国府展」
「きむらとしろうじんじん 野点」
2007年
「お引っ越し展#3〜春が来た。」
2004年〜
ワークショップ 「ゆめあーとひろば」
2005年〜
「クリスマスキャンドル万灯」
ほか
【今後の予定】
2007年8月31日〜9月17日 お引っ越し展#4〜実りの秋
2007年7月〜2008年2月 ワークショップ「ゆめあーとひろば」(募集中)
ほか企画展・ワークショップ開催予定
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■ イベントが好き
子どもの頃からイベントが好きでした。しかも可愛げがないことに、専ら裏方に徹するタイプで、
自分が企画したりシナリオを書いた物事が、実践されることに喜びを感じるという
少し変わった所がありました。
本当は目立ちたがりだったのだと思います。今でもそうです。
けれど、自分への自身の無さが逆に、「誰かをプロデュースする」ことへ
エネルギーを注ぐ結果になったと思います。
人間って、「あっこれ面白いかも!」と、何かを思いついたとき、同時に
「でも受けなかったら嫌だなあ。」という気持ちが生まれます。
普通はそこで終わるところを、「だったら私じゃなくて他の誰かに試しにやってもらおう」という、
何だか卑怯な手段を「企画立案」という、あたかも正当な手段のように実行することが、
私にとっての「イベントを企画すること」の原点でした。
■ 「やりたいこと」を実現するのは難しい
子どものころは、狭い社会(学校とか友達とか家族とか)で生きていましたから、
たいていの「あっこれ面白いかも!」を実現することは案外簡単にできました。
ちょっと頭をはたらかせて、ちょっと行動すれば物事はすんなり動かせる、
そんな狭いコミュニティでしたから。
けれど、大きくなるにつれて、その社会が広がって、新しい人と出会い、
知らない事がたくさんあることを知り、ちょっと大人になって、とても臆病になりました。
そうすると、子どもの頃に思いつきで出来ていたことが、できなくなりました。
こんな経験は私だけじゃないと思います。
もともと、「趣味」程度のイベント好き人間でしたから、
「どうしてもどうしてもやりたいこと」があるわけでもありません。
そういうわけで、学生時代はさして積極的にアート活動や企画を行っていたわけでは
ありませんでした。ただ、色んなことに関わりたい性格のため、高校・大学時代は色んな部活動、
サークルに参加していました。
水泳、テニス、園芸、オーケストラ、ブラスバンド、古美術研究。
何にも共通点はありませんが、いろんなジャンルに広く浅く関わることそのものが楽しかったのです。
■ 自分の感覚を信じている
大学を卒業して地元に帰ってきたとき、これまでの趣味は趣味として続けながら、
仕事をしようと考えていました。
ところが、たまたま地元にある公共施設が美術専門職員を募集していました。
「広く浅く」がモットーの私は、なぜか大学時代に学芸員の勉強もしており、資格を取っていました。
これぞまさに「芸は身を助ける」です。
あれよあれよという間に学芸員という仕事を任され、「何でもいいから、やりたいこと企画して」
と無謀なことを言われました。そんな馬鹿な。
とりあえず「あっこれ面白いかも!」「これは凄い!絶対みんなに知らせなきゃ」と思った
アーティストや作品、地元の文化財などを、ただがむしゃらにイベントとして企画しつづけて3年目。
そんな日々です。
私は、自分を卑下しているわけでも何でもなく、ごく庶民的な感覚の持ち主だと考えています。
「あの人はアートに理解がある」とか「あの人は芸術が好きだ」とかそういう言葉をよく聞きます。
「アートに理解がある」って一体なに?「面白い」ものはただ単純に「面白い」と思う、
それが普通だと思っていて、私は、有名なものに飛びつくミーハーさや、
古典的なものを退屈に感じる、ごく普通の若者の感覚を持ち合わせています。
だから、私は私の感覚、「これは面白い」という直感は誰もが面白いと感じるに違いない、
と信じることにしています。
一般的に何が受けて何が受けないのか、「もし、お客さんが少なかったらどうしよう」、
そんなことを考え始めて前に進めなくなったときは、なぜその企画をやろうと思ったのか、
原点の気持ちを思い出します。そして、いつも攻めの姿勢を崩さずにいたいと考えています。
3年間で、少しだけ経験値が上がり、大人になって臆病になりました。
けれど、「やりたいことを実現できる立場にいる」そんな贅沢な仕事に就けたからには、
子どもの頃に思いつきとひらめきで、おままごとみたいにやっていた、
あの心を持ちつづけていたいと思う、今日このごろです。